2005年8月17日水曜日

天王寺界隈(写真)/ 時どき急に明るくなる日光が…


天王寺界隈

 写真は、さる14日午後、四天王寺からの帰路、近鉄ビル2階テラスから撮影した天王寺界隈の風景。盆休みで大阪市内は車が少ないかと思ったが、そうでもない様子だった。

時どき急に明るくなる日光が…

 高校時代の交換日記から

(Ted)

1952年10月26日()晴れ

 東の空には、沢山の藍黒色の雲が浮遊して、その大部分を覆っている。街路を歩いていると、手の甲を乾燥させる冷たい空気が、絶え間なく木々の梢や電線やその他のあらゆる揺れたりなびいたり吹き飛ばされたりすることの可能なものを動かしているのが、いかにも寒ざむとした感じを与えて目に映る。しかし、家で読書をしていると、時どき急に明るくなる日光が、自分の周囲以外のどこかで非常に楽しい幸福な場所を作り出しているのではないかという僻んだ幻想を起こさせる。――そんなきょうの午後を、君はどこへ行って過ごしたのかね。* [1]

 母という字をずっとママンと読みながら、ようやく第6巻まで読んだ [2]。「二項式の平方は、その各項の平方と両項の相乗の二倍から成り立つといふことを、始めて計算に依って知った時には、その運算が正しかったにも拘らず、図形を作ってみるまでは全く信ずることが出来なかった」ということが書いてある。シャルメットで知識の獲得に毎日を捧げていたルソオの24歳のときのことだ。

(Sam の欄外注記)* 親友の YM 君のところへ行っていた。彼の家は能美郡山上村字岩本。白山さんに詣で、天狗壁を巡っていた。秋の風物を満喫した。この辺はすばらしい名勝だ。

 引用時の注

  1. Sam の家を訪れたが不在だったのだろう。
  2. ルソオ著・石川戯庵訳『懺悔録』 (岩波文庫、第1刷発行1930、第20刷発行1952) を読んでいたのである。現在の岩波文庫版は、ルソー著・桑原武夫訳『告白』となっている。

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