2005年1月24日月曜日

万物の理論 (The Theory of Everything)

 アインシュタインが三つのテーマについて 5 編の重要論文を発表した「奇跡の年」から 100 年目であり、また、世界物理年に指定されたこの年にちなんで、Nature 誌は最近号に 50 ページの特集を組んでいる [1]。その最後に、アインシュタインが後半生追い続けて達成できなかった「万物の理論」についての、著名な物理学者 11 名各人の展望が掲載されている。

 オランダ・ユトレヒト大学の Gerald 't Hooft(ノーベル賞受賞者)は、アインシュタインと同様、万物の理論は確率的要素を持たないものであろう、と考えている。アインシュタインが後半生を過ごしたプリンストン高等研究所の Edward Witten は弦理論(string theory)を万物の理論の有力な候補とみなしている。東大宇宙線研究所の Masataka Fukugita は、宇宙論は不幸にして万物の理論を構築するには有用ではなく、傍観し期待している、と記している。

 カナダ・ペリメータ研究所の Lee Smolin は、「万物の理論」ということばは好まないが、空間が原子と同様に非連続的な構造であることを予言するループ量子重力理論(loop quantum gravity)が、より統一的な理解を与えるものとなろう、と述べている。テキサス大の Steven Weinberg(ノーベル賞受賞者)は、「万物の理論」ということばは、科学のすべての問題を解決するような理論の存在を示唆するので好まないが、われわれに出来る限りの説明を与える単一の単純な理論という意味での「最終の理論」を見出すことは出来るだろう、とのみ述べている。オックスフォード大の Roger Penrose は、量子力学の観測のパラドックス(シュレーディンガーのネコのパラドックス)が解決されなければ、万物の理論が存在するにせよしないにせよ、われわれはそれに近づいているとはいえない、としている。等々。

 まさに、11 人 11 色の回答であり、アインシュタインの死後 50 年目でもあるいま、彼が追求した万物の理論の像は、まだ、霧の彼方にある。

  1. "Year of physics: A celebration," Nature, Vol. 433, p. 213 (2005).

コメント(最初の掲載サイトから若干編集して転載)

テディ 01/24/2005 21:59
 ずぶの素人の浅はかな考えですが、やはり万物の理論は存在するがそれは確率論を含むのではないかと思います。天体の運動は正確に予言できますが、箱の中に入れた猫の生死はやはり開けてみるまでわからないのでは? その生死を正確に予測しようとするには無限大の要素を考慮に入れなければならず、結果として確率論になるのでは?… と思うのですが。

Ted 01/24/2005 22:08
 私も 't Hooft がなぜ万物の理論は確率的要素を持たないだろうというのか、不思議に思います。

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