2009年12月19日土曜日

09年11月分記事へのエム・ワイ君の感想 (M. Y.'s Comments on November-2009 Articles)

 M.Y. 君から "Ted's Coffeehouse 2" 2009年11月分への感想を12月18日づけで貰った。同君の了承を得て、ここに紹介する。青色の文字をクリックすると、言及されている記事が別ウインドウに開く。

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1. 映画『沈まぬ太陽』

 ——山崎豊子の "事実を小説的に再構築したフィクション小説"『沈まぬ太陽』(1999年)をもとにした同名の映画を見た。…(中略)…この映画に対して日本航空は、社内報の中で「『フィクション』と断っているが、日航や役員・社員を連想させ、日航と個人のイメージを傷つける」「作り話で商業的利益を得ようとする行為は遺族への配慮が欠けている」と批判し、法的な訴えも辞さない姿勢を見せているという——と記されています。そして、「この作品から謙虚に学んで、安全重視、人命尊重の経営へ転換することこそが重要であろう」と筆者は指摘しています。全くその通りだと思います。

 山崎豊子は事実を丹念に掘り下げて、社会正義を問うフィクションを多く書き、私はこれらを読んで感銘を受けています。この2月に完結した文芸春秋の連載小説「運命の人」は、12月2日の朝日新聞に報道された「沖縄密約と外務省機密漏洩事件」と沖縄大学職員が解禁された米国公開公文書を発見し真実を追究する努力や、西山元毎日新聞記者の苦悩の人生をもとに書かれたフィクションです。

 同紙は、「1972年、国会で社会党議員らが外務省の機密電文をもとに密約の存在を追及した。電文には、沖縄の土地の現状回復補償費を日本が肩代わりすることを前提としたやりとりが記されていた。電文は外務省の女性事務官から西山氏に渡されたもので、その後社会党に流れたことが分かり、西山氏と事務官は有罪になった」と事件を解説しています。そして、「返還交渉の責任者だった元外務省アメリカ局長の吉野文六氏(91)が1日、東京地裁に証人として出廷し、外務省の局長室で密約文に署名したと証言した。証言後の記者会見に臨んだ吉野氏は『25年か30年たてば、公文書を公開して、だれでもそれを研究できるそういう制度を日本の外交にも採用することがいいことだと思います』と述べた」と報道しています。

2. エム・ジュニア

 ——大親友の一人だった M 君は、1997年に他界した。クラスが隣同士だった中学3年生のときに親しくなり、高校は別になったが、高校の3年間には日記の交換を続けた。彼がしっかりした文字で書き、文学的香りも漂っていた文章からは、学ぶところが多かった。私が最近まとめた自費出版書 "Passage through Spacetime" …(中略)…を M 夫人へ送ったところ、アメリカ在住の息子さんが来月帰国する折に読んで貰う旨を記した礼状が届いた。さる4日、その息子さん、 M Junior との面会が実現した。彼は在米すでに約10年、目下、南西部のある大学でナノテクノロジー関係の研究をしている学者である。…(中略)… M Junior と食事をしながらの1時間20分間には、主に M Senior の思い出を話しあった——とあり、いまは亡き大親友への思いがしみじみと伝わってきます。

 交換日記には、楽観的な M 君のユーモアのある日常・高校生活の節々や、お互いに切磋琢磨するようすが描かれています。M 君は「一時の恥じを忍んでも致し方がない。このノートのために、一つでも多くを知り、そして、書き記さなければならない。なぜならば、それが大きな進歩を約束してくれるからである」と書いていました。交換日記は稀にみる貴重な作品だと思います。「御影大橋の渡り初め」や同級生 Green への思慕を率直に表現した「海水浴」や、映画感想「根拠のない噂」「わが谷は緑なりき」などが印象に残っています。

3. ピアノ・リサタル

 ——プログラムはショパンの「幻想即興曲」「バラード第1番」「英雄ポロネーズ」という名曲を中心に、…(中略)…小佳品が散りばめられ、聞きやすく組み立てられていた。「幻想即興曲」は大学生時代の初めまでピアノを習っていた長女がよく練習していた曲で、彼女自身の結婚式でも演奏したものである。そういう曲を聞いていると、当時のわが家の様子などがいろいろ思い出されたりするのは、不思議でもあり面白いことでもある——と、演奏に特別な関心を抱いて楽しまれました。

 それに加えて、「雨の中、…(中略)…ぬれて傷んでもよいようにと、…(中略)…古い革靴を引っ張り出して履いて行った。…(中略)…ところが、会場へ着いて足もとを見て驚いた。…」との裏話があり、笑いも誘うユーモアたっぷりの物語でした。

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