高校時代の交換日記から。
(Sam)
1952年4月17日(木)晴れ
二限は二年男子のツ反応検査で休講になり、三限は三年男子がそれをすることになっていたので、三年男子が半ばを占める時事問題も休講、五限はまた、先生が欠勤されたので休講となり、一日の時間割の1/2は授業がなかった。
なんぼ春だといっても…。もはやプールで泳いでいる連中がいた。きょうのように、砂ぼこりで鼻も口もカスカス、カラカラの状態になる日には、その生理現象を調整するのに好適かも知れない。微生物の繁殖がほとんど肉眼で認められないプールの水面を泳いでいる肉体は、透視できるのではないかとさえ見えた。さざ波がきらきらと輝いて、わずかばかりの水気を含んだ涼しい風が吹いて来るのが感じられた。ホームが授業に使われていなかったので、そこで低俗な雑談が行われていた。内容はホームの旅行か何かだった。「くじ引き」とか「割り勘」とか「一対一」とか「美男子」とか、そんな名詞が使われ、その間あいだに、何とも形容しがたい笑声がまき起こっていた。
きょうは風の吹き方も変わっているらしく、珍しく卒業生の NK 君が、卒業するときには見なかった装飾品を鼻の上にかけて、自転車でやって来た。ちょうど、ぼくが休講でぶらぶらしているときに来たとは、双方にとってありがたい存在物を見つけたわけだ。新品の革靴を買ったら、何々代もないとか、このバックルはゴットン品だとかの話や、クラブの今年の予算獲得の問題など、話の材料はたくさんあった。
Random writings of a retired physicist
Continuation of "Ted's Coffeehouse" (now being restored in archives of this site)
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2005年4月9日土曜日
なんぼ春だといっても
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